谷川俊太郎诗12首
庭を見つめる
私は知っている
君が詩を読まなくなったことを
書架にはかつて読んだ詩集が
まだ何十冊か並んでいるが
君はもうそれらの頁を開かない
その代わり君はガラス戸越しに
雑草の生い繁った狭い庭を見つめる
そこに隠れている見えない詩が
自分には読めるのだといわんばかりに
土に蟻に葉に花に目をこらす
「サリーは去った いずくともなく」
声にならぬ声で君は口ずさむ
自分の書いた一行か
それとも友人だった誰かのか
それさえどうでもよくなっている
言葉からこぼれ落ちたもの
言葉からあふれ出たもの
言葉をかたくなに拒んだもの
言葉が触れることも出来なかったもの
言葉が殺したもの
それらを悼むことも祝うことも出来ずに
君は庭を見つめている
盯着院子看
我知道
你已不再读诗
书架上曾经读过的诗集
几十册陈列着
可是,你不会再去打开那些书页
取代的是你透过玻璃窗
盯着看杂草丛生逼仄的院子
几乎要说自己能理解
隐藏于那里看不见的诗
对着土、蚂蚁、叶子和花朵凝视着
“莎丽离开,不知去向何方”
你用不能成为声音的声音哼出
是自己写下的一行
还是哪位朋友写下的呢
总之都在变好
从语言洒落的
从语言溢出的
顽固拒绝语言的
语言无法触摸的
语言扼杀的
对这些不能哀悼又无法祝福的东西
你盯着院子看
詩人の亡霊
詩人の亡霊が佇んでいる
廃屋の雨滴の伝わる窓硝子の向こうに
文学史の片隅に名を残しただけでは満足せず
女を死に追いやっただけでは満足せず
あの世に安住するのを潔しとせずに
もう声をあげることは出来ないが
数々の文字と化して彼はいる
新旧の図書館の地下の書棚の奥で
いまだに親友と名声を競いあっている
ついに詩の問いかけに答えられずに
彼は青空の心を読んだと信じた
小鳥の囀りの理由を知ったと信じた
鍋釜のように人々とともに暮らし
叫びと囁きにひそむ静けさを会得したと信じた
一滴の汗も血も流さずに
詩人の亡霊の隣にいるのは犀の亡霊
訝しげに隣人の顔をのぞきこむ
犀は詩人も同じ哺乳類だったことを知らない
人よ どうか子守唄を歌ってやってくれ
親しい死者と詩人を区別せずに
诗人的亡灵
诗人的亡灵伫立着
对着空屋传来滴答滴答的玻璃窗外
不满于自己的名字只是留在文学史的一角
不满于只是把女人逼到了绝路
对来世的安于现状感到愧疚不安
虽然已不能再发出声音
但化成文字的他却存在着
在新旧图书馆地下的书架深处
仍与挚友争夺着名声
终于无法再回答诗的问题
他相信自己读过蓝天的心
也相信懂得小鸟啾鸣的原因
像锅灶般与人们一起生活
相信已领会了隐藏在喊叫和细语里的静穆
不流一滴血和汗
诗人的亡灵旁边是犀牛的亡灵
纳闷地窥视着邻人的脸
不知道与诗人同是哺乳动物的犀牛说:
人啊,请你给我唱一首摇篮曲
不要区别亲密的死者与诗人
詩の擁護又は何故小説はつまらないか
「詩は何もしないことで忙しいのです」
——ビリー・コリンズ(小泉純一 訳)
初雪の朝のようなメモ帳の白い画面を
MS明朝の足跡で蹴散らしていくのは私じゃない
そんなのは小説のやること
詩しか書けなくてほんとによかった
小説は真剣に悩んでいるらしい
女に買ったばかりの無印のバッグをもたせようか
それとも母の遺品のグッチのバッグをもたせようか
そこから際限のない物語が始まるんだ
こんぐらかった抑圧と愛と憎しみの
やれやれ
詩はときに我を忘れてふんわり空に浮かぶ
小説はそんな詩を薄清者め世問知らずめと罵る
のも分からないではないけれど
小説は人間を何百頁もの言葉の檻に閉じこめた上で
抜け穴を掘らせようとする
だが首尾よく掘り抜いたその先がどこかと言えば
子どものころ住んでた路地の奥さ
そこにのほほんと詩が立ってるってわけ
柿の木なんぞといっしょに
ごめんね
人間の業を描くのが小説の仕事
人間に野放図な喜びをもたらすのが詩の仕事
小説の歩く道は曲がりくねって世問に通じ
詩がスキップする道は真っ直ぐ地平を越えて行く
どっちも飢えた子どもを腹いっぱいにはしてやれないが
少なくとも詩は世界を怨んじゃいない
そよ風の幸せが腑に落ちているから
言葉を失ってもこわくない
小説が魂の出口を探して業を煮やしてる間に
宇宙も古靴も区別しない呆けた声で歌いながら
祖霊に口伝された調べに乗って詩は晴れ晴れとワープする
人類が亡びないですむアサッテの方角へ
维护诗歌兼及小说何以无聊
诗歌因无所事事而忙碌
―比利·柯林斯(小泉纯一 译)
用MS明体的足迹
把初雪早晨般洁白的记事本画面踢散的不是我
那是小说干的
只能写诗真的是太好了
小说好像认真地苦恼着
让女人拎着刚买回的无印牌皮包好呢
还是让她拎着母亲遗留下的古驰牌皮包呢
从此,没完没了的故事就开始了
复杂化的压抑和爱憎
不可开交
诗有时忘我地轻飘飘浮游在空中
小说谩骂这样的诗是薄情寡义或不谙世故
并不是不能理解
小说用几百页的语言把人关在笼子里后
然后就挖掘逃路
但是,要说首尾呼应挖通的洞口是何地
那便是孩提时住过的胡同深处
诗歌吊儿郎当地伫立在那里
与柿树等一起
说着对不起
描写人的行为的是小说的工作
给人带来无数欢喜的是诗的工作
小说走的路蜿蜒曲折地通向人间
诗连蹦带跳走的路越过笔直的地平线
二者都无法让饥饿的孩子吃饱
但至少诗不怨恨世界
因为幸福的风吹进了肺腑
即使丧失语言也不害怕
小说在找灵魂出口急得发疯时
诗用不分宇宙和旧鞋子的懒洋洋声音唱着歌
在用祖先神灵口耳相传的歌曲中兴高采烈地穿越时空
朝着人类不会灭亡的方向
——「神が人間を考へる」ジュール・シュペルヴィエル 中村真一郎 訳
生まれたとき
ぼくに名前はなかった
水の一分子のように
だがすぐに母音が口移しされ
子音が耳をくすぐり
ぼくは呼ばれ
世界から引き離された
大気を震わせ
粘土板に刻まれ
竹に彫りつけられ
砂に記され
言葉は玉葱の皮
むいてもむいても
世界は見つからない
言葉をなくして
そよぐ木々になりたかった
十万年前の雲になりたかった
鯨の歌になりたかった
今ぼくは無名に帰る
目と耳と口を泥にふさがれ
指をもう星に預けて
可是,母音很快被口授
子音搔着耳朵
我被召唤
从世界分离出去
让大气震颤
镌刻在黏土板
雕镂在竹子上
记载在沙上
语言是洋葱皮
剥掉一层又一层
也看不到世界
丢掉语言
我想变成摇动的树木
变成十万年前的云朵
变成鲸鱼的歌声
此刻,我回归无名
眼睛、耳朵和嘴巴被泥土堵住
已把手指托付给星星
言葉だけに
——呈 中也
言葉だけになってしまって
山はぼうっとうずくまってる
港は薄曇った空の下
何事か思案している
他処の国でもそうなのだろうか
海は淡々と陸と陸を隔て
罪人たちの深い嘆きの感嘆詞さえ
言葉だけになってしまって
転んでもただで起きない商人は
電子まみれでバスタブにいる
大昔に書いた恋文も
言葉だけになってしまった
緊縛された若い女の首筋に
青い静脈が浮いている
言葉だけになってしまって
詩は世界から剥落しかけて……
嘘だ!嘘だ!
何が言葉だけなものか!
太腿を脇差で刺して
小姓は居眠りすまいとしたではないか!
―静けさだ
あとは静けさあるのみだ
案山子たちは尾羽打ち枯らし
藁の頭で瞑想し
どっかの家の食卓の
夫婦茶碗によそわれて
ご飯が湯気を立てている
ほのかに湯気を立てている
别的国家也是这样吗
大海淡淡地隔开陆地
就连罪人们深深哀叹的感叹词
也只变成语言
即使跌倒也不白站起来的商人
待在充满着电子的浴槽里
很久以前写的情书
也只变成语言
年轻少女被紧紧绑住的脖子上
鼓起青筋
只变成语言
诗从世界渐渐剥落……
谎言!谎言!
说什么只属于语言之物
用短刀刺入大腿
那里不是侍童当作打瞌睡的地方吗!
——寂静
之后只有寂静本身
稻草人们落魄潦倒
用稻草的头冥想
往谁家饭桌上的
鸳鸯碗里盛饭
饭冒着热气
微微地冒着热气
音楽
穏やかに頷いて
アンダンテが終わる
二つの和音はつかの間の訪問者
意味の届かない遠方から来て
またそこへ帰って行く
幻のようにか細い糸の端で
蜘蛛が風に揺れている
それを見つめているうちに
フィナーレが始まる
最後の静けさを先取りして
考えていたことすべてが
時の洞穴に吸いこまれ
人はなすすべもなく生きている
せせらぎのように清らかに今
世界を愛して
音乐
温和地点头
行板结束
两个和音是刹那间的来访者
从意义无法抵达的远方而至
然后再返回原处
在幻影般纤细蜘蛛丝的一端
蜘蛛被风摇动
就在凝视它时
最终乐章开始了
抢先攫取最后的寂静
思考过的一切
被吸入时间的洞穴
人不知所措地诞生
仿佛潺潺溪流一样清澈的此刻
爱着世界
「音の河」
——武満徹に
音の河は樹木と樹木のあいだに流れている
積乱雲と玉蜀黍畑のあいだにも
たぶん男と女のあいだにも
きみはその伏流をぼくらの内耳に響かせる
ピアノでフルートでギターで声で
ときに沈黙で
音楽はいつまでたっても思い出にならない
この今を未来へと谺させるから
きみもいつまでもいなくならない
きみがこっちに置いていった服を着て
ぼくはそっちにいるきみの歌を聴く
ホールを囲む木立にゆっくり夕闇が下りてきて
言葉の秩序は少しずつ背景に退いてゆき
世界の矛盾に満ちた暖かい吐息を
ぼくらは耳元に感じる
“音之河”
——给武满彻
音之河流动在树木和树木之间
也流动在积雨云和玉米田里
大概也流动于男女之间
你让那股潜流响彻在我们的耳鼓
以钢琴以长笛以吉他以声音
有时也以沉默
音乐不管经过多久都不会变成回忆
因为此刻向着未来发出回声
你也永远不会消失
穿着你遗留在今世的衣服
我倾听着你在那来世的歌
暮色慢慢地顺着环绕大厅的树木落下
语言的秩序一点点地退回布景
我们在耳边感受到
世界充满矛盾的温情叹息
Where is HE?
姿が見えていた夏
声が聞こえていた秋
肩をたたくことのできた冬
そして二度と来なかった彼との春
だが彼はいまもなお繰り返し訪れる
沈黙の彼方から音を連れて
私たちの耳に
目に見えぬ世界からの波動に触れて
かすかに震える鼓膜
音の原子によって創られた
意昧を超えたもうひとつのリアル
そこに彼はいる
新しく生まれる音 甦り続ける声に
すこやかな耳をすまして
Where is HE?
见到他的夏天
听到他声音的秋天
能拍打他肩膀的冬天
然后,永不再来的他的春天
可是,他至今仍反复到访
从沉默的远方带来声音
传入我们的耳朵
触碰来自看不见世界的波动
微微颤动的鼓膜
被声音的原子创造
超越意义的另一个真实
他就存在于此
在新诞生的声音里,在继续复苏的声音里
用健全的耳朵倾听
《夢の引用》の引用
滴る水
…波紋の
静寂
音は
帰るところを
探している
影が
ひそやかに
近づき
波の胸騒ぎ
風の
動悸
獣の睦言
鉱物の
喃語
奈落を
覗く
花
突然の
道化と
王女
時が
句点を
打つ
記憶が
くすぐられて
微笑み
城と
庭園と
涸れた噴水
苦い
会話の
断片
立ち昇る何故に
答える
年輪
散乱する
電子にひそむ
神の無言
彗星の
尾のように
回帰する
魂の
木々の
ざわめき
人はどこ?
いつかこんなにも
遠く…
永遠を借景に
水平線の
祝祭
真空に
星の胎児の
歌
“梦的引用”的引用
滴水
……波纹的
寂静
声音
在寻找着
归宿
影子
悄悄地
靠近
波浪的忐忑
风的
悸动
野兽的闺房话
矿物的
呢喃
窥视
地狱的
花朵
突然的
丑角
和女王
时光
打上了
句号
记忆
被搔痒得
微微笑
城郭与
庭院与
干涸的喷泉
苦涩的
谈话
片段
年轮
回答
站立的缘由
神的沉默
潜入散乱的
电子
像彗星的
尾巴一样
回归
灵魂的
树木的
吵嚷
人在哪里?
从何时变得如此
遥远……
借景永恒
水平线的
庆祝和祭祀
真空里
星星的胎儿的
歌
「午後おそく」による十一の変奏
かたむきかけた日の光は
かしの葉のふちをいろどり
そのまま芝生にとけこむようだ
応接間の回転窓は
雲の小さなすがたみとなり
気よわく夕日に対している
今日もいちにち快晴
かたむきかけた日の光が
だんだん影をのばしてゆく
1950.1.9
*
かたむきかけた日の光に
子どもたちはいつか
散り散りにうちへ帰って行った
ベンチで老人は本を閉じて
歴史の暗がりから戻ってきたが
理性の光がきらめかせたのは
ギロチンをはじめとする
まがまがしい凶器のたぐいばかり
黄昏のけむるような薄闇にひそむ
あえかな恋の記憶に縋って立ち上がり
公園を出て老人は「ホーム」に戻って行く
*
木は空へと伸びてゆく
年輪に自分を記録しながら
ヒトも空へと背伸びし
宇宙にさまよい出てゆくが
その記録は年輪のような
中心をもたない
かたむきかけた日の光に
梢は天を指す金色の矢印
私は木に添いたい
中心にある誕生の瞬間が
垂直に宇宙へ通じていると
信じて
*
「あなたは素通しの硝子ね」
と女が言う
「光を自分の中にとどめておけないのよ
影が怖くて」
「きみは鏡だな」
と男が言う
「光をすべて反射してしまう
きみも影が怖いのかな」
かたむきかけた日の光をつくろうと
裏で照明さんは汗をかいている
「なんだか気恥ずかしい台詞ね」
と女が言う
「光は理性の暗喩のつもりかしら」
「とすると影は潜在意識だな」
と男が言う
「光も内臓にまではとどかない」
「目に見える光はね」
と女は言う
「でも目に見えない光は
どこまでも私たちを貫いてくる」
*
深い水底の午後
竜宮はひっそりと静まりかえっている
乙姫がみまかって既にひさしい
貝類はうす青く光を放ち
藻類はゆらゆらと潮に身を任せている
ここでは時は刻まない
ゆるやかに渦巻いてたゆたうだけ
時折どこかの艦のソナーがノックするけれど
竜宮の螺鈿の扉は閉じられたまま
ハルマゲドンを待っている
*
ティテーブルに小火器が置いてある
かたわらに半裸でチェロを弾いている男
よろい戸から黄ばんだ日差しがさしこんで
物語はこの場面では寛いでいるが
もうすぐ警官の一群がこの家を取り囲み
男はバルトークを練習しながら射殺される
……という筋書きに
作家(三六歳の女性)はもう飽き始めている
彼女の使い古した白いマックにも
物語の中と同じ黄ばんだ日差し
カウチで黒猫が丸くなっている
遠くから「夕焼け小焼け」のチャイムが聞こえてくる
物語の中ではなくこの詩の中でもなく
いまここでこれを書いている生身の私の耳に
*
「アフタヌーンティ」という店で
熱いチャイを飲みながら思った
意昧がヒトの心を黴のようにおおっている
むかし言葉はもっと無口だったのではないか
ただそこにあるだけだったのではないか
意味に打ちひしがれず 欠けた茶碗のように
流れているBGMとは違う音楽が
かすかに鳴っている
私の深みで
*
森の中で男の子らが騒ぎ出している
朝の質問に親たちも教師も答えてくれないから
木の間がくれの日の光に伸びてゆく影を
彼らは気づかずに読み解く
大人に頼ってはいられない
海に向かわなければ
昔話もお伽話も当てにはならない
森を出て石ころだらけの小道をたどり始めて
もう彼らは迷子になっている
草のあいだで小さなトカゲが見ている
巻雲の下からトンビが見ている
転んだ子を誰も助けない
海は遠くから語りかけてくるが
その意味を悟るには老いねばならない
頬の産毛が金色に輝くにつれて
男の子らの足どりはゆるやかになり
やがて立ち止まってしまう
女の子たちはどこにいるのか……
*
午後おそくやって来てその人は言う
「浜辺でこれを拾ったの」
大きめのおはじきのような薄青色の
波に磨かれて丸くなった硝子のかけら
「ありふれたものね」
でも美しい……限りなく美しいと感じるのと
その人は言う なんだか泣きそうな顔で
その人はもう若くはなくて
私ももう若くはなくて 共通の幼馴染が死んで
今夜がその通夜
なんでもないもの どうでもいいもの
存在する意味すら分からないもの
「そんなものに気持ちが寄っていってしまうの」
その声を聞きながら私は黒いネクタイを締めている
*
君の幻想の中でぼくはいったい誰なのだろう
波紋に揺れる水に映った顔は
本当にぼくなのだろうか
言葉は言葉へと頼りなげな触手を伸ばし
映像は明滅しながら闇に溶けていく
君の幻想の中でぼくは過ぎ去った午後を数える
金色の光に侵されたあの哀しみも
母の子宮から生まれてきたものなのだろうか
詩で答えてはならない問いがある
いつか君はぼくに向かってそう言った
君の幻想の中でそのときぼくは
いったい誰だったのだろう
*
「ながれをただよいくだりながら………
金いろのひかりのなかにためらいながら………
いのちとは、夢でなければ、なんなのだろう?」
(ルイス・キャロル・生野幸吉訳)
*
書き忘れていることがある と思う
多分綿埃のようなこと いや
何百万光年かなたの星雲のようなこと
書き忘れていることがある
手紙に?日記に?それとも詩に?
書き忘れていること
言葉の手前でふと立ち止まってしまったこと
それがあるのは どこ?
姿見に六十年前の芝生が映っている
ひとりの青年が歩いてくる
彼に話しかければ思い出すのだろうか
近寄って抱擁すれば 目をじっとのぞきこめば
罵れば 殴れば 刺せば それとも
書き忘れていることなどどこにもないのか
たとえ思い出したとしても
基于“傍晚”的十一个变奏
西斜的阳光
为橡树的叶缘涂上色彩
仿佛就此溶入草坪
客厅的旋转窗
变成云朵小小的穿衣镜
怯懦地映照着夕光
今天也是一整天的晴空
西斜的阳光
渐渐拉长了影子
1950.1.9
*
西斜的阳光中
孩子们不知何时
都各自回家去了
长椅上的老人合上书本
从历史的黑暗回到现实
可是使理性的光辉闪耀的
却尽是断头台之类
不吉利的凶器
潜入黄昏朦胧的幽暗
依附着梦幻般爱的记忆
老人走出公园踏上回“家”的路
*
树木向着天空生长
把自己记入年轮
人也向着天空踮起脚
开始在宇宙中彷徨
可那记录却不像年轮一样
有着中心
西斜的阳光中
树梢是指向天空的金色箭镞
我想紧靠着树
在中心诞生的瞬间
正垂直穿过宇宙时
我如此相信
*
女子说:
你是透明的玻璃呢
光无法停留在自身中啊
因为害怕影子
男子说:
你是镜子啊
光会反射所有
你也会害怕影子吧
想创造出西斜的阳光
灯光师在后面正流着汗水
女子说:
真是让人害羞的台词啊
光说不定是理性的隐喻
男子说:
那么影子便是潜意识啰
光也无法抵达内脏
女子说:
那是看得见的光吧
但看不见的光
始终贯穿着我们
*
深海的午后
龙宫阒寂无声
龙女早已仙逝
贝壳泛着淡蓝的光
海藻随着海水摇晃
这里没有时间的印记
只有缓缓呈涡状的晃动
有时,不知哪里的军舰声呐来敲门
但龙宫螺钿的门扉却依旧紧闭
等待着世界末日
*
茶几上放着小火盆
旁边是拉着大提琴的半裸男子
泛黄的阳光从百叶门射入
故事在这样的场景下展开
不久一群警察就包围这个家
正在练习巴托克作品的男子被射杀
……对这样的故事大纲
作家(三十六岁女性)已经开始厌倦
她用旧了的白色苹果电脑上
也洒满了和故事中一样泛黄的阳光
睡椅上黑猫蜷缩着
听到从远处传来“晚霞夕照”的管钟声
不是在故事中也不在这首诗中
而是在此时此地写下这些文字时,我肉身的耳中
*
在一家叫作“下午茶”的店里
我一边喝着热茶一边思索
意义像霉一样笼罩人心
以前语言不是更沉默的吗
不是只存在于那里的吗
不被意义所摧垮,就像有缺口的碗一样
不同于正在播放的背景音乐的乐曲
隐约响起
于我内心深处
*
男孩子们在森林吵嚷着
因为清晨的提问得不到父母和教师的回答
他们没有觉察地解读
树间因暮色而拉长的影子
不要依赖大人
就必须走向大海
传说和童话也都是瞎扯
走出森林一踏上满是碎石的小路
他们就已变成迷路的孩子
小蜥蜴在草丛中看着
老鹰从卷云下看着
跌倒的孩子无人扶起
海从远方搭话
但它的意思只有老了才能领会
随着脸颊上的胎毛泛起金色的光辉
男孩子们放慢步伐
终于停下脚步
女孩子们到底在哪里啊……
*
午后姗姗来迟的人说:
“在海边捡了这个。”
大小如玻璃弹珠
被海浪磨圆的淡蓝色玻璃碎片
“随处可见的东西啊。”
但是好美……觉得是无限的美
那人说着,一副快要哭出来的表情
那人已不再年轻
我也已经不再年轻,儿时共同的玩伴死了
今晚是灵前守夜
那些微不足道的、无关紧要的
甚至不知道存在意义的东西
“感情都寄托在它们上面了。”
我听着那声音系上了黑色领带
*
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